渋女生の活躍

卒業証書授与式を実施しました。

 3月1日(水)、第75回卒業証書授与式を実施しました。以下、卒業生代表生徒の『答辞』です。

 教室の窓際に差し込む光が、どこかやわらかさを増し、長い冬の間、息をひそめていた木々の蕾もほころび始め、春の息吹を感じられるようになりました。

 本日は私達のために、このような盛大な卒業式を挙行していただき、ありがとうございます。先程は、校長先生を始め、来賓の方々、在校生代表からの温かい激励の言葉を頂き、改めて今日が三年間慣れ親しんだ学び舎からの旅立ちの日であることを実感しています。

 振り返りますと、未曾有の新型コロナウイルスが猛威を振るい始め、日本中がその恐怖におびえていた三年前の四月八日、私達は渋女の門をくぐりました。荷物を持ったまま、いきなり通された体育館でのリハーサル。無言で歩いた体育館と教室の往復。異様な雰囲気での入学式は、これから始まる高校生活への不安を一層大きくさせました。クラスメイトの顔と名前も覚える間もなく、すぐに始まった二ヵ月間の休校。何のスタートも切れぬまま送られてくる大量の課題をただ黙々とこなすだけの日々は、思い描いていた色鮮やかな高校生活とはあまりにもかけ離れていました。六月からの分散登校を経て、ようやく通常授業が始まったのは、季節も巡り、夏服となった六月下旬でした。奇数組と偶数組でどこかぎこちなさが残る初日の緊張感は今でも鮮明に覚えています。

 初めての行事らしい行事は、九月の体育大会でした。お揃いのクラスTシャツを着て、お揃いの髪型にしただけで心が躍り、ようやく高校生になれた気がしました。十二月、中止となった大学見学の代わりにクラス毎の県内日帰り旅行がありました。群馬県の魅力を再発見しながら、クラスメイトとの親睦を深めることができました。日常生活では、学校の自販機で飲み物を買ったり、登下校の渋女通りでおしゃべりをしたり、そんな些細な日常が嬉しくて、一年生は失われた二カ月を取り戻すのかのように駆け抜けた濃厚な日々でした。

 文理選択をして少しずつ将来の方向が見え始めた二年生。芽吹く木々の緑や、咲き誇る色とりどりの花、渋女で過ごす初めての春は、毎日が新鮮で、ゆったりと穏やかに過ぎ、このまま日常が戻ってくるかのように思えました。しかし、再びコロナが蔓延し、私達にとって最初で最後の清苑祭は在校生だけの開催となり、九月には再び分散登校となって中学生に向けての学校説明会が中止になりました。十月、一年延期となった渋女創立百周年式典が行われました。生徒代表として宣誓の言葉を述べた緊張感は今でも忘れられません。十一月、一番の思い出となった東北・函館方面への修学旅行。フェリーで行った松島、震災当時六才だった私達も経験し、記憶に残る東日本大震災の被災現場での防災学習、青葉城址から見た仙台の夜景、青函トンネル、函館の夜景、数々の光景を私達ひとり一人が、目に焼き付け、心に刻みました。

 受験まで0年となった三年生。何をするにも「最終学年」「最後の…」という言葉がつけられ、急に身も心も引き締まる思いがしました。四月、最後の榛名登山は雨天のため、第一関門までの折り返しとなりました。それでも、実施できることに感謝して一歩一歩踏みしめて歩きました。行動制限のない、高校生活初めての夏休み。ようやく念願だった大学のオープンキャンパスに行くことができました。九月、どこまでも続く青空の下、最後の体育大会が行われました。三年間の様々な思いをぶつけるかのごとく、競技や応援に全力を注ぎました。先生方と戦った卓球は本当に楽しかったです。

 長いようで短かった三年間。コロナ禍で部活や行事が大きな制約を受け、何を目指してどこへ向かえばいいのか、自分を見失うこともありましたが、たくさんの人と出会い、様々な事を学ぶことができました。今日という日を無事に迎えられたのは、陰に日向に支えてくださった方々のおかげです。

 先生方へ。いつも優しく私達を見守り、そして指導してくださいました。昼休みや放課後の時間を割いて、わからないところを私達が納得するまで丁寧に教えてくださったり、将来についての相談に親身になって乗ってくださり、ありがとうございました。先生方のおかげで一歩を踏み出すことができました。

 後輩の皆さんへ。何をするにもリモートで、学年の垣根を越えての交流ができなかったのが、心残りです。明るくて楽しい渋女をこれからも守り、そしてより良い渋女を築いていってください。応援しています。

 家族へ。自分のことを一番理解してくれているのに、なかなか素直になれず、色々と心配をかけたこともありました。どんなに忙しい日でも、毎朝欠かさずお弁当を作ってくれてありがとう。夜遅くに駅や塾の迎えに来てくれてありがとう。八つ当たりしても怒らないで励ましてくれてありがとう。十八年間、一番近くで支えてきてくれて、いつも味方でいてくれてありがとう。

 三年生のみんなへ。楽しい時、つらい時、どんな時でも、いつもそばにはみんながいました。冗談を言ってお腹を抱えて笑い合ったり、模試終わりにファミレスで答え合わせをして一喜一憂したり、自習室で夜まで勉強したり、みんなと過ごした日々は私に彩りを与えてくれました。マスク越しの三年間だったけど、とても楽しかったです。出会えて良かった。本当にありがとう。

 そして、一緒に卒業することが叶わなかった〇〇〇〇さん。病気と闘いながらも、学びへの強い思いを持って通う姿に、私達はたくさんの勇気をもらい、もっと頑張らなければと何度も自分を鼓舞しました。あなたと過ごした時間は私達にとってかけがえのない宝物です。あなたの果たせなかった夢の分も、私達は、地に足をつけてしっかりと生きていきます。渋女を選んでくれてありがとう。

 今日私達は、渋女を巣立ち、それぞれの道を歩み始めます。今までは、解くべき問題を与えられて正解にたどり着くための、その道筋を教えられてきましたが、これからは、目まぐるしく変化する社会で、自分自身で問題を見つけ、解決していかなくてはなりません。その中で、時に立ち止まってしまうことをあるかもしれません。けれど、どんな困難が待ち受けようとも、渋女で培った諦めない心と柔らかな心を持って、しなやかに生き抜いていきたいと思います。

 最後になりますが、今日まで私達を支えてくださったすべての方々に感謝を申し上げ、渋川女子高校の更なる発展と活躍を祈念し、答辞といたします。

 令和五年三月一日 卒業生代表 倉沢優月

 

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