渋女生の活躍
第73回卒業証書授与式を実施しました
3月1日(月)、第73回卒業証書授与式を実施しました。今年度は新型コロナ感染症対策のため、在校生は各HRにてリモートでの参加でした。以下は、卒業生代表生徒の『答辞』です。
『答辞』
厳しい冬の寒さも和らぎ、暖かな春の訪れを感じる季節となりました。中庭のクジャクも春の訪れを喜ぶように、日増しにその鳴き声を高く響かせるようになりました。
本日は、私たちのためにこのように盛大な卒業式を挙行していただき、ありがとうございます。先ほどは校長先生をはじめ、来賓の方々、在校生代表からの温かい激励の言葉をいただき、改めて、今日が三年間慣れ親しんだ学び舎からの旅立ちの日であることを実感しています。
思い起こせば三年前、これから始まる高校生活に期待と不安を抱えながら、私達は渋川女子高校に入学しました。真新しい制服に袖を通し、高校での新しい生活になじめるか、初めて出会う先輩方や同級生達と親しくなれるのかなど、大きな不安を抱えていました。けれど、対面式で先輩方から「みどりぼん」と励ましの言葉をいただき、心がじんわりと温かくなるような喜びを感じました。
こうして始まった渋女での生活に華を添えたのは、数々の学校行事でした。
入学後まもなく待ち受けていたのは、榛名登山でした。渋女から榛名湖畔までの往復三十二キロの山道は想像をはるかに超える、長く苦しいものでした。けれど、一緒に歩く仲間と他愛のない話をしたりお菓子を交換したりすることで、同級生との心の距離が縮まっていくのを感じました。そして、この厳しい道のりに挑んだ経験が、三年間の渋女での生活を支えてくれたように感じます。
「Sparkle~きらめく個性・はじける笑顔~」をテーマに開催された第三十七回清苑祭。教室がクラスごとに決められた物語に沿って飾り付けられ、その非日常の光景に心が躍りました。絵の具で手を汚しながら一生懸命に作り上げた展示物が完成したときにこみ上げた達成感は、これまでに経験したことのないものでした。
沖縄への修学旅行は、青い海と真っ白な砂浜の風景、クラスや班別での観光など、その思い出は語りつくせないものとなりました。三泊四日の旅は、目に飛び込んでくるすべてのものが新鮮で、群馬県では味わうことのできない独特な文化や自然を肌で感じることができました。今でも修学旅行の写真を見返すと、あのときの風景や思いが、鮮やかに浮かび上がります。また、平和学習では、ひめゆり資料館や実際に使われていた防空壕を巡りました。同年代の少女達が直面した悲劇や、暑くて苦しい壕の中で息絶えた人々の無念を想像し、今の自分たちがどれほど幸せであるのかを知り、戦争を二度と繰り返してはならないという思いを強くしました。
様々な思い出が詰まった高校生活ですが、二年生の終わりからの三か月間、突然の休校を経験しました。第三十八回清苑祭を始めとする学校行事、三年生として有終の美を飾ろうとしていた部活動、そして私たちの日常であった授業など、私たちの学校生活が一つずつ消えていきました。やるせなく悲しい気持ちは、今なお拭い去ることはできません。
学校再開後、私たちに残された数少ない学校行事の一つが体育大会でした。このような状況下でも、各クラスの思いを込めてデザインした色とりどりのTシャツを着て、工夫が凝らされた様々な競技に、クラス一丸となって汗を流しました。この特別な一日を充実したものにしようと、競技にかける思いは強くなり、仲間の応援にも例年以上に力が入りました。
今思えば、この先行きの見えない日々は、先生方の授業で友達と一緒に学ぶこと、同級生や後輩と心を一つに活動に励むことといった学校生活が、どれほど貴重で、私たちの支えになっていたかを痛感させるものでした。こうした思いを噛みしめながら過ごしたこともまた、何事にも替え難い経験となったのだと思います。学業や部活動を始め、私たちがこれまで仲間と一生懸命に取り組んできたたくさんの時間は、決して色褪せることのない大切なものに変わりありません。
在校生の皆さん、三年生は皆さんの目にはどう映っていたでしょうか。皆さんが私たちを慕ってくれたおかげで、私たちは「先輩」という自覚を持つことができました。これからは皆さんが渋女の先頭に立つ番です。渋女の伝統を引き継ぎ、必ずより良く発展させてくれるものと信じています。
先生方、今までご指導いただき、有り難うございました。先生方は、どんな時でも私たちの相談や質問に時間を割いてくれました。温かく励まし、指導してくださった先生方のおかげで、私たちは学習面でも精神面でも大きく成長することができました。
そして、一番近くで私たちのことを見守ってくれた家族には、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。どんなに忙しい日でも、欠かさずお弁当を作ってくれて、ありがとう。凍えるように冷たい朝にも、「いってらっしゃい」と私たちを送り出してくれて、ありがとう。どんなことがあっても、私たちを受け入れ励ましてくれて、ありがとう。いつの日か、今度は私たちが家族を支える側になれるよう、頑張ります。
三年生のみんな。三年間、楽しい思い出を一緒に作ってくれて、ありがとう。他愛もない話で大笑いしたあの日も、将来について真剣に語り合ったあの日も、すべてが私たちの中に輝き続ける、かけがえのない人生の彩りです。
これから私たちは、渋女を巣立ち、それぞれの道を歩み始めます。私たちが旅立っていく世界は、コロナ禍の混乱や自然災害の多発、少子高齢化の進行やAIの普及による社会変化など、これまでに私たちが経験したことのない未知の課題を抱えています。その中で、ときには不安に駆られることもあるかもしれません。けれど、この先にどんな困難が待ち受けようとも、私たちは、この渋女で身につけた知識や能力、強さや優しさを支えとして、その困難を必ず乗り越えていきます。
最後になりますが、今日まで私たちを支えてくださったすべての方々に感謝を申し上げ、
渋川女子高校の更なる発展と活躍を祈念して答辞といたします。
令和三年三月一日 卒業生代表 氏田陽菜
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