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Eメール 2025.12.03 アメリカ語学研修 5日目

【渋川女子高等学校アメリカ研修 5日目報告書】

 研修5日目。昨夜の雨から一転し、朝のボストンには澄んだ青空が戻りました。すっかり登校にも慣れた一同。地下鉄やバスを乗りこなす姿はさながらボストニアンのようです。肩の力が少しずつ抜けてきたようで、授業中に積極的に発言したり、クラスメイトに話しかけたりと、それぞれが自分なりの“勇気”を試し始めています。休み時間には、同じクラスの留学生の名前を覚えて「今日は話しかけてみようと思うんだ」「次の時間に質問してみる!」と作戦会議をしている姿や「ジョンはすごく優しいの!」とはしゃぐ姿も。昨日まで不安そうだった背中が、クラスメイトと笑顔で写真を撮ったり、連絡先を交換したりする様子へと変わり、確かな成長が感じられます。

 午後はハーバード大学へ移動し、現地で学ぶ松本真理愛さんとお会いしました。松本さんは東京大学経済学部をご卒業後、経済産業省で国際交渉の業務に携わり、現在はハーバード大学公共政策大学院に在籍。スイスと東京を行き来する生活を経て、貿易政策を深く学ぶためにアメリカへ。ハーバード到着直後にトランプ政権へと移行し、国際情勢が大きく変化する中で「自由貿易の議論を現場で学びたい」という強い思いで留学を決意されたと語ってくださいました。

 お話の中で、生徒たちの心を最も動かしたのは、松本さんの高校時代のエピソードでした。「中学受験は補欠合格。学年ビリから2番。それでも『東大に一位で入る』と公言した」という言葉は、生徒たちに強烈なインパクトを与えました。実際に東京大学へ入学し、その後経産省、そしてハーバードへと進まれた背景には、「なりたい自分になり切る」「モチベーションを当てにしない」「決めたことを必ずやる」という揺るがない姿勢がありました。

 また、「嫌いなものを嫌いで終わらせず、理由を考えることが自分の推進力になる」「インプットよりアウトプットで勝負」「やりたいことに挑戦できるのは周囲のおかげ。感謝が自分の力になる」という温かいメッセージも。「宇宙産業にも興味があるので、優秀な人材が世界中からアメリカで、自分に何ができるか挑戦したい」という現在の夢について語る姿はとても力強く、同時に生徒たちにとって“少し先を歩く先輩”としての親しみやすさもありました。

 MITでお会いした長野さん、ハーバードの松本さん。お二人に共通していたメッセージは「自分が好きだと思うことをやり続ける」でした。この言葉は、研修の折り返し地点に立つ生徒たちに大きな励ましとなりました。そして同時に、日本に戻った後の自分とどのように向き合うかを考える生徒たちが増えてきました。「まだ全力を出し切っていない」「友達の影に隠れてしまって、前に出られない」「後悔を残したまま日本に帰りたくない」様々な思いを抱え、もがく姿はとても逞しく、心の奥底で小さな変化が確かに芽吹いています。今はまだ言葉にはならなくても、帰国する頃にはきっと形を持った“実感”となって胸に残るはずです。ボストンでの残りの日々が、未来へ続く一歩となるよう願っています。

 

※写真は追って掲載します